トランプ氏を「擁護せず」 ライアン米下院議長が異例の動き
ワシントン(CNN) 米共和党のライアン下院議長は10日、共和党議員らに対し、同党の大統領候補ドナルド・トランプ氏を今後は擁護しないとの意向を明らかにした。本選までの残る29日では代わりに、連邦議会での共和党の優位を維持することに専念するとしており、トランプ氏にとっては大きな痛手となりそうだ。
ライアン氏の広報担当者は声明で、同氏が来月、連邦議会での共和党の過半数を守るのに専念する見通しであることを明らかにした。
ライアン氏の今回の動きは米国の政治史上でも極めて異例。大統領選投票日を約1カ月後に控える中、共和党内の分裂状態がほとんど修復不能とみられる状況になっているのを露呈した形だ。
ライアン氏は10日朝、電話会議で共和党議員らと会談。会談を聞いていた人物によると、ライアン氏は議員らに対し「あなたたちは自分と自分の選挙区にとって最善のことをやるべきだ」と述べた。
この人物によると、ライアン氏は、民主党が連邦議会を掌握し、同党候補のヒラリー・クリントン前国務長官が白紙委任を得た状態になるのを防ぐことに全力を注ぐ意向だという。もはやトランプ氏が大統領に就任できそうにないことを暗に認めたともいえそうだ。
ライアン氏のコメントに先立ち、7日付の米紙ワシントン・ポストの記事で、トランプ氏が2005年に下品かつ性的に攻撃的な発言をし、これがマイクに拾われていたことが発覚。トランプ氏は9日の第2回討論会で、こうした発言について謝罪した。だがライアン氏は、トランプ氏に対する積極的な支援を今後も継続することはないとの意向を明確にした。