妻の中絶阻止する権利、夫に認める州法が成立 米南部
(CNN) 米南部アーカンソー州で、夫が医師を提訴して妻の人工妊娠中絶をやめさせることを認めた州法が議会を通過し、知事の署名で成立した。妻が配偶者にレイプされた場合でも例外は認めていない。
胎児の保護を目的とするこの法律は、ハッチンソン知事の署名で成立し、年内に施行される。妊娠第2期の中絶では最も一般的な術式を禁止する内容で、中絶手術を受けようとする女性の夫が医師を訴えて中絶をやめさせることができるとする条項を設けた。
訴えを起こすことができるのは胎児の父親で、夫が妻をレイプした場合や、近親者だった場合も除外されない。理論的には女性をレイプした相手が裁判を起こして中絶をやめさせることも可能になる。
米自由人権協会のアーカンソー支部は、同法が米国憲法違反に当たると主張、裁判所に施行差し止めを申し立てる意向を明らかにした。
一方、同州のミッシー・アービン州上院議員は夫の権利を支持する立場から、「女性には自分の体をコントロールする権利がある。だが生命はほかの誰かとの間につくりだすもの」と強調する。
人工妊娠中絶に関する同様の州法はカンザス州やオクラホマ州でも議会を通過し、裁判に持ち込まれている。
オハイオなど数州では、トランプ政権で勢い付いた保守派が妊娠中絶規制強化の法案を通過させている。