トランプ米大統領、初の議会演説 共通目標への団結呼び掛け
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は28日夜、議会上下両院の合同本会議で初の施政方針演説に臨んだ。選挙演説や就任演説での強硬路線から方向転換して、国民に共通の目標を示し、団結を呼び掛ける姿勢が目立った。
トランプ氏は大きな拍手に迎えられて議場に入った。演説の冒頭では、全米各地のユダヤ教施設に相次ぐ脅迫や、カンザス州でインド人技術者が銃撃された事件に言及。「我が国は政策をめぐって意見が割れているかもしれない。だが憎悪や悪意が非常に醜い形で現れることがあれば、それら全てを一致団結して非難する」と述べた。
議場には、トランプ政権初の対テロ戦で戦死した海軍特殊部隊員の夫人が招かれていた。トランプ氏がこの隊員を「テロと戦い、我が国の安全を守った戦士であり、英雄だった」とたたえると、議員らが総立ちで拍手を送った。夫人も涙を流しながら天を仰ぎ、拍手に加わった。
トランプ氏は一方で、オバマ前大統領が避けていた「イスラム過激派によるテロ」という表現を使い、国境管理の強化を改めて約束した。メキシコ国境沿いで「もうすぐ大きな、大きな壁の建設を始める」とも明言したが、建設費用をメキシコに負担させると繰り返してきた主張には触れなかった。
トランプ氏は同日、演説に先立つホワイトハウスでの会見で、不法移民対策をめぐる妥協案を示し、記者団を驚かせていた。同氏はこれまで不法移民の取り締まり強化や強制送還を主張してきたが、会見では国内に住む不法移民に合法化の道を開く移民法を検討していると述べ、「双方の歩み寄り」による改革を提案した。