米国務省、イスラエル部隊によるガザ開戦前の人権侵害を断定 援助削減を検討
(CNN) 米国務省は29日、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まる前に、イスラエル軍の5部隊による重大な人権侵害があったと断定した。
国務省のパテル副報道官は同日の記者会見で、このうち4部隊はすでに侵害行為を事実上是正したと述べたが、是正措置の詳細には言及しなかった。
パテル氏によると、米国は残る1部隊について、人権侵害に関与した外国部隊への援助を禁じた米「リーヒー法」に基づく援助の削減を検討している。
報道によると、この部隊はユダヤ教超正統派の兵士で構成される「ネツァ・イェフダ」大隊。昨年1月、パレスチナ系米国人の高齢男性が拘束下で死亡した事件に関与していた。
パテル氏は、イスラエル側から同部隊に関する追加情報が提供されたと報告。侵害行為はすべて昨年10月7日のガザ開戦よりかなり前にガザ地区以外で起きていたと指摘し、対応をめぐってイスラエル政府との協議を続行中だと述べた。
ブリンケン国務長官がジョンソン下院議長に送った書簡によると、侵害行為は自治区ヨルダン川西岸地区で起きていた。
事情に詳しい関係者によれば、イスラエルは最近、非公開の処分を下していたことを米国に伝えた。米国側はこの処分が十分だったかを検討したうえで、援助を制限するかどうかを決める見通しとされる。
イスラエルのネタニヤフ首相は先週、X(旧ツイッター)への投稿で、イスラエル軍の兵士がテロと戦っている時に米国が制裁を科すことは「愚の骨頂」だと主張し、対抗措置を予告した。
米政権がイスラエルを特別扱いして猶予を与えているとの批判もあるが、パテル氏はこれを否定し、リーヒー法の手順に沿った対応だと強調した。