拷問の映像発覚し非難強まる、インドネシア軍関与か
ジャカルタ(CNN) インドネシア東端のパプア州の路上で軍服を着用した複数の男が全裸にされた地元の男性に拷問を加えるビデオ映像が発覚、国際人権団体などが非難し、同国当局に徹底調査を要求する事件となっている。
同州では、エネルギー資源が中央政府に収奪されているなどとして独立を求める自由パプア運動の武装闘争がくすぶっているが、男性は同組織の構成員とみなされ、武器を秘匿する場所を尋問するための拷問だったともみられている。パプア州では米企業が世界最大規模の金鉱山を操業している。
インドネシア国軍のタンジュン報道官はCNNに対し、拷問が起きた時期、場所などを突き止める徹底的な調査を約束。兵士なら人権対策などでの訓練は受けているとし、拷問の疑惑をまず法的に証明する作業を行わなければならないと強調した。一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、映像はインドネシア軍が反政府勢力に対して続けている拷問の証拠になる可能性があると糾弾している。
問題の映像は携帯電話で撮られたもので、手足を縛られた男性が路上に横たわり、男たちに火のくすぶる木片を性器に押しつけられ、苦痛の叫び声を上げる場面などがある。男たちは「武器はどこだ」などと詰問している。また、近くの場所にも衣服を着た若い男性が横たわっており、男たちがナイフを鼻の下に突き付けて武器や反政府勢力の仲間の居所を質す映像もあった。
CNNはこの映像を国際非政府組織(NGO)から入手したが、内容の真偽は確認出来ていない。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、拷問している男たちの武器は兵士の標準装備品に似ているとして軍の関与を示唆している。また、尋問の言葉も治安当局のよく使う表現に似ているとも指摘した。
人権団体はインドネシア当局に徹底的な調査を要求したが、同国では兵士による虐待疑惑などに関する軍調査がなし崩し的に葬り去られた過去もあるとの懸念も示した。同国では今年、同じパプア州で起きたとみられる、政治活動家の男性がジャングルで内臓をさらけ出して倒れているビデオ映像も表面化していた。この映像には、活動家のそばに警官の制服姿の男たちがおり、「兵士たちがいる限り、自由を得ることは出来ない」とあざける場面もあった。男性は消え入るような声で「自由」との言葉を口にした後、死亡していた。警察はこの事件への関与を否定、男性は銃撃戦で負傷したと主張していた。