アジアで成人の免疫不全症候群、HIVは関与せず 米国立衛生研究所
(CNN) エイズのような症状がでる新種の疾患が主にアジアで見つかっているとして、米国立衛生研究所(NIH)が23日の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに論文を発表した。
それによると、この疾患の患者は体内でつくられた抗体が自分自身の免疫系を攻撃し、免疫系が正常に機能していれば問題にならないような病原体で発症する日和見感染を起こす。症状はエイズに似ているが、エイズウイルス(HIV)が原因ではないという。成人がかかることから成人型免疫不全症候群と呼ばれている。
研究チームはタイと台湾で18~78歳の約200人を調査し、日和見感染の症状を確認したが、いずれの患者もHIVには感染していなかった。
症例は2004年から報告され、NIHは05年から調査に着手した。米国にも症例があり、NIHが調べた12人はいずれもアジア系で、ほとんどが存命だという。米国以外では死者も出ているが、数は把握できていない。
米国立アレルギー感染症研究所の専門家は、この疾患はエイズのようなウイルスを原因とするものではなく、人から人への感染はしないと強調。研究チームでは、自己免疫ができる原因を解明し、治療法の確立につなげたいとしている。