メルケル独首相がギリシャ訪問 緊縮策に数万人が抗議デモ
パプリアス大統領もメルケル首相の訪問を歓迎し、「苦しんでいる国民に希望を与えるための措置を考えなければならない」と指摘。そうした措置には、成長促進策や若者と女性の雇用創出策を含める必要があるとの認識を示した。
国会議事堂に近いシンタグマ広場では大規模な抗議集会が開かれ、労組や急進左派連合(SYRIZA)の関係者などが参加。「ここは植民地ではない」「メルケル出て行け、ギリシャ人3500人の殺人者」といった反メルケルの横断幕を掲げる参加者の姿もあった。警官隊に物を投げるなどして逮捕者も相次いだが、同日夕までにはほとんどの集会が解散した。
ギリシャでは緊縮策の一環として、国民の多くが給与をカットされ、年金や福利厚生も削減されて、失業率が急激に悪化している。EUの5月の統計によれば、25歳未満の若者の失業率は53.8%に達していた。
抗議デモに参加したのは9日が初めてという市民も多く、国民の間で緊縮策に対する怒りが広がっている様子がうかがえる。公務員の女性(53)は「メルケル首相は政治家の声しか聴かず、ギリシャで何が起きているかを知らない。もっと長く滞在して実態を見て欲しかった」と不満をぶつけた。