バーレーン、反政府活動家の市民権剥奪 人権団体が非難
(CNN) バーレーン政府は8日までに、イスラム教シーア派の反政府活動家31人について市民権を剥奪(はくだつ)した。国営テレビが内務相の声明として伝えた。バーレーンは、王家のハリファ家など支配層はスンニ派だが、国民の大多数はシーア派。昨年春の民主化運動「アラブの春」以降、宗派対立が深刻化している。
31人の中にはシーア派の反体制グループに所属する元国会議員やグループの幹部、聖職者など含まれる。
声明によれば、国内法によりバーレーン政府は「国家の安全を脅かしたとして起訴されたいかなる人物の市民権も剥奪する権利を有する」という。また、処分に不満があれば法廷に訴える権利は認められる。
これに対しバーレーンの2つの人権団体は「著名な政治活動家や元国会議員、聖職者らが狙い撃ちされた」と懸念を表明するとともに、はっきりした証拠が示されないまま市民権を剥奪したとして政府を非難した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの中東北アフリカ支部長のフィリップ・ルーサー氏も「政府が示した根拠は非常にあいまいで、被害者の政治的見解に基づいて取られた措置に思える」と指摘。「最も懸念されるのが、政府が(反体制)グループの人々を市民権のない状態にしようとしていることだ。これは国籍を恣意(しい)的に奪うことと同様に、国際法で禁じられている」と述べた。
バーレーンを支配しているのはイスラム教スンニ派の王家だが、国民の3分の2はシーア派だ。チュニジアやエジプトでの民主化運動の影響で昨年2月以降、シーア派の反政府運動が続いており、治安部隊とデモ隊の衝突が繰り返されている。これを受けて政府は今年10月、デモ禁止令を施行した。
バーレーンはペルシャ湾に浮かぶ島国で、米国にとって戦略的重要性は高い。首都マナマには米海軍の第5艦隊の司令部が置かれている。