シリア軍、スカッドミサイル攻撃開始か 投入兵器拡大の兆候
(CNN) 米政府当局者は12日、シリア政府軍が少なくとも4発の短距離ミサイル「スカッド」を首都ダマスカス周辺から同国北部へ撃ち込む攻撃を行ったことを明らかにした。反体制派勢力の拠点を標的にしたとみられる。
米軍事衛星がこれらミサイル発射に伴う赤外線を探知したという。ミサイルの着弾地点については隣国のトルコ領内ではないが、国境線に近い場所としている。ミサイル攻撃による被害の有無などは伝えられていない。
トルコが加盟する北大西洋条約機構(NATO)は同国の要請に応じ、地対空ミサイルシステム「パトリオット」を配備する準備を進めている。米国防総省報道官によると、オバマ政権はここ数日内にトルコに供与するパトリオットの数と派遣要員数に関する指示を出す見通し。
米政府当局者は先に、シリア政府軍は反体制派との戦闘に用いる兵器を拡大しており、射程60マイル(約97キロ)と比較的長距離のミサイル約20発を用いた攻撃を既に行ったと明かしていた。
アサド政権が保有するロシア製の短中距離用のスカッドミサイルは最大で400発とされる。一方、米国務省当局者によると、ナパームに似た可燃性の材料を使った焼夷(しょうい)弾もシリア政府軍に配備されている。
NATOは12日、シリア内で多数の無誘導の短距離弾道ミサイルが今週発射されたことを把握したとし、弾道や飛距離の分析でスカッド型ミサイルとみられると発表していた。
これらミサイルの使用は20カ月に及ぶシリア内戦の一層の悪化をも意味している。米国務省のヌーランド報道官はアサド政権は権力維持に必死となっており、より致命的な打撃を与える兵器の投入を始めていると指摘した。