ミャンマー軍が反政府勢力を空爆、米政府と国連が懸念表明
バンコク(CNN) ミャンマー北部カチン州で続く政府軍と反政府武装勢力「カチン独立軍(KIA)」との衝突で、ミャンマー政府がKIAに対して空爆を行ったことを確認した。
これを受けて米国務省のヌーランド報道官は2日の記者会見で、「暴力の激化を深く憂慮している」と述べ、「ビルマ(ミャンマー)政府とカチン独立機構(KIO)に対し、衝突を終わらせて真の対話に乗り出すことを引き続き求めていく」と述べた。KIOはKIAの政治部門。
ミャンマーの大統領報道官は、政府軍による空爆は12月30日と31日に実施したと説明。大統領は軍に対し、カチン州の州都ライザには進攻しないよう指示していたとも言い添えた。
現地にいる米国人写真家のライアン・ロコ氏は、ミャンマー軍がライザ周辺で激しい砲撃や空爆を繰り返しており、KIAの軍事拠点を狙った空爆は12月28日から連日続いていると証言した。27日の砲撃では民間人の男性1人が死亡、3人が重傷を負ったという。
国連の潘基文事務総長は2日、ミャンマー政府に対し、「民間人の人命を危険にさらしかねない一切の行為の停止」を求めた。
人道団体によると、KIAとの衝突はミャンマー軍政時代から続いており、過去2年でKIAが勢力を強める中、民間人多数が避難する事態になっている。
ミャンマーはテインセイン政権の元で民主化が進んだことを受け、米国などが相次いで経済制裁を緩和し、11月にはオバマ大統領が現職の米大統領として初めてミャンマーを訪問。少数民族との和平交渉も進展していたが、カチンでの衝突は政権にとっての深刻な課題として残されていた。