今年の地政学上の重大事は「日中対立」 米専門家が見通し
ダボス(CNN) 米国の著名な政治学者イアン・ブレマー氏は22日、CNNとのインタビューで、今年1年間に予想される国際紛争や対立のうち地政学上最も重大なのは日本と中国の関係だとの見方を示した。
ブレマー氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の会場でインタビューに応じ、今年の世界情勢の見通しを語った。
同氏によると、重要性が飛び抜けて高いのはシリア情勢でもイランの核問題でもなく、尖閣諸島(中国名・釣魚島)などを巡って緊張が続く日中関係だという。
中国の国内総生産(GDP)は2010年に日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位となった。国民の所得増大が民主化の大きな波を引き起こすとの説もあるが、ブレマー氏の意見は異なる。
「中国は貧しい国であり、独裁体制と国家資本主義の国だ。だからこそ、その興隆は経済的、政治的対立に大きな影響を及ぼす。こうした基本的な性質は、中国が米国を抜いて世界最大の経済国になっても特に変わらないだろう」と、同氏は主張する。
そんな中国は「もはやかつてのように日本を必要としていない」というのが、同氏の見方だ。「日本の技術も投資も必要ではなくなった。しかもベトナムやフィリピンと違って、華僑の影響力も日本にはない」と指摘する。
ブレマー氏は「米国は長年にわたり、中国の成長は自分たちの利益にもなると考えてきた。一方で日本は今、中国の成長が自国の利益にならない、悪いことだと感じている」と述べ、「米国の抱える葛藤(かっとう)は深まるばかりだ」と警告した。