5歳少女が救命艇に乗れず死亡――伊客船事故犠牲者の最期が明らかに
イタリア・ジリオ(CNN) 救命ボートに乗せてもらえず海に落ちた5歳の少女、他人に席を譲って水中に身を投じた男性――。イタリア・ジリオ島沖で座礁した豪華客船「コスタ・コンコルディア」の事故から1年あまり。検察がこのほどまとめた報告書で、犠牲者32人の最期の様子が明らかになった。
コンコルディアは昨年1月13日、同島の沿岸で座礁した。船体を引き揚げる計画も進んでいるが、今なお海上で横倒しになったままの姿をさらしている。
最年少の犠牲者となった5歳のダヤナ・アルロッティちゃんと父のウィリアムさんは、救命ボートが満員で乗り込めず、傾く船体に必死でしがみつこうとしながら、海に落ちて水死した。ダヤナちゃんは学校に通い始めたばかりだった。救命ボートに乗り込んでいた大人たちの中に、ダヤナちゃんのために席を空けようとする人はいなかった。
女性バーテンダーのエリカ・モリナさんは救命ボートに乗り込んだにもかかわらず、発進時の混乱の中で海に落ちた。ライフジャケットを身に着けていなかったため、船体の沈没でできた渦に巻き込まれ、海中に吸い込まれた。
マリア・ディントローノさんは、犠牲者の中で唯一、いまだに遺体が見つかっていない。やはり満員の救命ボートに乗り込めず、震えながら船の端に立ち、凍るような海に飛び込む姿が目撃されていた。ディントローノさんもライフジャケットは着けておらず、泳ぐこともできなかった。