エジプトの人気コメディアン、大統領侮辱の疑いで聴取
カイロ(CNN) エジプト政界を風刺するテレビ番組で人気を集めているバッセム・ユセフ氏は3月31日、同国のムルシ大統領を侮辱した疑いをかけられたことを受けて、検察に出頭した。検察によると、同氏は事情聴取の後、保釈金2200ドル(約20万円)で釈放された。
ユセフ氏は2年前までカイロ市内で心臓外科医として勤務するかたわら、風刺ビデオを作っては動画共有サイト「ユーチューブ」に投稿していた。今では全国放送の番組を持つ有名人だが、番組での風刺が大統領への侮辱やイスラム教の冒とくにあたるとして召喚された。
建物の周囲には多数の支持者らが集まり、ユセフ氏の名前を呼んだ。
ユセフ氏は出頭当日もツイッターへの書き込みを続けた。同氏が目の前に立っているのに「目の色は」などと身体的特徴を尋ねる係官や、問題の番組を見ようとしてパソコンを探したが見つけられなかった検察をあざ笑い、「警官や検察は私と一緒に写真を撮りたいようだ。呼び出された理由はこれなのか」と冗談を飛ばした。
同氏は昨年末、CNNとのインタビューで、エジプトの政情が世界の注目を集めている今こそが風刺のチャンスだと話していた。自身もエジプト人でイスラム教徒だと強調し、風刺番組は広く受け入れられ、多くの人々を力づけていると語った。
ユセフ氏は、ツイッターをはじめとするソーシャルメディアの力で有名になったといえる。ネット上にはこの日、同氏を支持するコメントがあふれた。同氏は保釈後、まじめな調子で「皆さんの支援に感激していますが、同じような支援を受けるべき活動家がほかにも多数います」とツイートした。