シリアで世界遺産のモスクの塔破壊 政府と反体制派が非難応酬
(CNN) 内戦が続くシリア北部のアレッポで24日、12世紀に建てられた世界遺産のモスクの塔が破壊されたことが明らかになった。アサド政権、反体制派の双方が破壊の責任を巡り非難の応酬を繰り広げている。
崩壊したのはユネスコの世界遺産に指定された「古代都市アレッポ」の一部であるウマイヤド・モスクの「ミナレット」と呼ばれる塔。国連関係者は先月、2年にわたる内戦による損傷を懸念する発言をしていた。
反体制派の「地域調整委員会(LCC)」は、破壊したのはアサド政権だと主張。「政府軍は今日、モスクの尖塔を狙い、完全に破壊した。人類と文化の遺産に対する新たな犯罪を犯した」と述べた。LCCが公開した写真に尖塔の姿はなく、崩れてがれきと化した光景が写っている。
反体制派の統一組織「シリア国民連合」も、「本日、アサド政権はアレッポの大モスクの塔を破壊し、歴史と文明に対する新たな犯罪を犯した」との声明を出した。塔は「戦車からの砲弾が当たり、地面に崩れ落ちた」という。
一方、政府側は反体制派の1つでイスラム過激派の「ヌスラ戦線」が塔を破壊したと非難した。ヌスラ戦線はイラクのアルカイダ系組織と関係があるとされている。
国営シリア・アラブ通信(SANA)は24日、「ヌスラ戦線のテロリストが塔で爆発物を爆破させた」と言及。当局者の話として、「テロリストが塔とモスクの南側の扉に爆発物を仕掛けて吹き飛ばした」と伝えた。
SANAはまた、政府軍が「アレッポ周辺のヌスラ戦線のテロリスト」に対する特別作戦を開始、拠点の多くを破壊したと伝えた。