英、ケニア独立闘争の拷問被害者らに30億円支払いへ
(CNN) ヘイグ英外相は6日、英植民地時代のケニアであった拷問などの人権侵害への補償として計1990万ポンド(約30億円)を支払うと発表した。
「英政府は当時行われた人権侵害と、ケニアの独立への歩みを妨げたことを心から遺憾に思う」と、ヘイグ外相は述べた。
賠償金は5228人の被害者に対して支払われる。また英政府は独立の闘士たちを称える施設を建設する計画だという。
人権侵害は、英統治下のケニアで「マウマウ団の乱」と呼ばれる独立闘争が行われた1952~61年に起きた。独立闘争では数千人のマウマウ団の兵士が死亡。民間人を含む多くのケニア人が身柄を拘束された。
被害者らは強姦(ごうかん)や違法な身柄の拘束、去勢といった人権侵害が英国によって行われたと主張。英政府を相手取って訴訟を起こしていた。
「高齢の拷問被害者はついに、長年求めてきた(被害の)認知と正義を手にした。被害者にとって、この瞬間の重要性はどれだけ強調してもしすぎることはない」と、被害者側の弁護士の1人は述べた
被害者が英政府に賠償を求める訴訟を起こしたのは2009年。これに対し英政府は、出訴期限は過ぎており、全ての賠償責任は独立の際にケニア政府が引き継いだと主張した。
だが2011年1月、拷問の詳細を記録した文書が発見され、風向きは大きく変わった。英外務省は本件に関する証拠を全て提出するよう裁判所から命じられた。これには、独立前に秘密裏に運び出された大量のファイルも含まれていた。
英裁判所は昨年、独立闘争時に拷問を受けた3人のケニア人に対し、英政府を相手取って訴訟を起こす権利を認める判決を下した。この後、数千人の被害者が同様の裁判を起こしていた。