「がんの村」があぶりだす中国の環境破壊の実態 経済成長のしわ寄せ
申し立てや請願を行ったことで、ウェイさんは地元政府の頭痛の種となった。ウェイさんによれば、いやがらせや脅迫を受けているという。CNNが取材を行った日も、保安員とみられる人物が取材の様子をこっそりと写真に収めていた。
ウェイさんは一部の染物工場や繊維工場によって、がんが引き起こされていると確信している。しかし、水を処理しているかいないかにかかわらず全ての工場が同じ河川に排水しているため、汚染している工場としていない工場を区別することはほとんど不可能にちかい。
国際環境団体グリーンピースは、説明責任の欠如が「完璧な煙幕」になっていると指摘する。同団体がさきごろ発表した報告書によれば、この地域の水を調査した結果、少なくとも10種類以上の毒性のある化学物質が発見されたという。
匿名を条件に語った地元当局者は「状況については認識しているし、問題に対処すべく最大限の取り組みを続けている」としたものの、詳細については言及しなかった。
ウェイさんは「私が望むのは、きれいな空気を吸い、安全な水を飲み、汚染されていない土を使うことだけ。私が望むのはそれだけだけど、高望みをしすぎているのかも」と語った。