赤く変色する注射器で使い回し防げ 英研究者が開発
(CNN) インドでは毎年40億~50億回もの注射が実施されるが、ある研究によれば、そのうち少なくとも25億回は安全な注射ではなく、注射器の使い回しによる病気感染などのリスクがあるという。英ハダースフィールド大学の研究者はこのほど、このような状況を変えるべく空気に触れると赤色に変色する注射器を開発した。
注射器の開発者であるデービッド・スワン氏によると、世界で毎年130万人もの人々が不衛生な注射が原因で命を落としている。同氏は「A型やB型の肝炎の3割、HIV感染の5%が注射が原因だ」と説明する。
インドではゴミの埋立地から使用済みの注射器を拾い集め、洗って診療所に売る行為がよく見られるという。「密封状態から開封されたばかりの無菌の注射器と、洗浄された使用済みの注射器を見分けるのは困難だ」と語る同氏は、密封状態から開封されて空気に触れると色が変わるインクを利用した注射器のアイデアを思いついた。
同氏が開発した注射器「ABCシリンジ」には特殊なインクが染みこんでいる。使用前の密封状態では透明な色のままだが、開封して空気中の二酸化炭素に触れると、注射器の筒の部分が赤色に変色する。これにより、医師も患者も使用済みの注射器かどうか判断できるようになるという。