「対麻薬戦争は失敗」、世界で流通量増加 報告書
香港(CNN) 各国が麻薬撲滅に力を入れているにもかかわらず、ヘロイン、コカイン、大麻の流通価格は下がり、純度は増しているという調査結果が2日までに、英医学誌に発表された。専門家は、これは流通量の増加を示唆するとして、「対麻薬戦争の失敗がこれで改めて裏付けられた」と指摘している。
カナダと米国の研究チームは米国と欧州、オーストラリアでの麻薬流通と、南米やアフガニスタン、東南アジアといった地域での生産の現状について、政府の統計などをもとに調査した。
その結果、各国が取り締まりに力を入れ、大麻などの押収量は増えているにもかかわらず、過去20年で主な麻薬の供給量が増えて価格は下がり、純度は上がっていることが分かった。
米国ではヘロイン、コカイン、大麻の価格が1997年~2007年にかけて少なくとも80%下落する一方、純度はヘロインが60%、コカインが11%、大麻は161%高まっていた。欧州でも同じような状況だったという。
米薬取締局が押収した大麻の量は、2010年には1990年の465%増を記録。ヘロインの押収量は29%増、コカインは49%減だった。
この研究結果についてカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の麻薬対策専門家、エバン・ウッド氏は、「公衆の健康と安全を前面に据え、麻薬使用を犯罪としてではなく公衆の健康問題としてとらえる政策を打ち出す必要がある」と指摘している。