亡命の夢が目前で破れ送還――9人の若き脱北者たちの運命は
ソウル(CNN) 「さあ荷物をまとめて。韓国へ行きますよ」――長年待ち焦がれたその知らせに、歓声を上げる9人の若者たち。しかし送られた先は、何年も前に脱出したはずの北朝鮮だった。逃亡の末に送還されたかれらを、この先どんな運命が待ち受けているのだろう。
9人の年齢は15~23歳。ほとんどが孤児で、親がいても子どもの世話はできない、あるいはしたくないという家庭に生まれた。それぞれ数年前に、北朝鮮から食べ物を求めて中国へ越境してきた。
中国に住む韓国人宣教師のM.J.さん(仮名)は、2009年12月に若者たちと出会い、救いの手を差し伸べた。かれらが今年5月に送還されるまでの日々を、CNNとのインタビューで振り返った。
出会ったころのかれらはごみ箱をあさり、魚の骨と食べ残しのご飯でかゆを作って飢えをしのいでいた。たまに手に入るネズミはごちそうだった。
廃墟ビルの中で零下30度という厳しい寒さに耐える生活。手足は凍傷を起こし、食べ物を盗もうとして警備員に殴られた傷が体に残る。栄養失調と不衛生な環境が、病気や成長不良を招いていた。
M.J.さんはそれまでにも脱北者を手助けしたことがあった。成功率が高いのは、中国からラオス経由で米国や韓国へ亡命するルートだった。