児童虐待の聖職者の追放処分求める 国連がバチカンを批判
(CNN) カトリックの聖職者による子どもへの性的虐待の問題で、国連の子どもの権利委員会は5日、ローマ法王庁(バチカン)の対応が不十分だと非難する報告書を発表した。バチカンは子どもの権利条約の締約国。
報告書によれば被害に遭った児童は「数万人」に上るという。
報告書を受けてジュネーブに駐在するローマ法王庁のトマージ大使は、バチカンが児童虐待防止に力を入れているとしたうえで、さらなる取り組みが必要との見方を示した。ただ、報告書が人工妊娠中絶を受け入れるよう求めたことについては批判した。
報告書のなかで同委員会は、ローマ法王庁が犯罪の規模の大きさを認識していないことや、子どもへの性的虐待や子どもの保護への対応に必要な措置を採らないこと、加害者を処分せず虐待の継続を招いていることに対する懸念を表明。児童虐待を行った、もしくは行った疑いのある聖職者を全員排除するよう求めた
また、虐待の情報があった場合に調査を行い、警察と連携するための「子どもの人権を監視する独立機関」を設置するよう求めるとともに、虐待の容疑が浮上した場合は警察に届けることを義務化するよう提言した。
報告書は、教会が加害者を別の教区に異動させるなどして事件の隠ぺいを図ったと指摘、「子どもにとっての最善よりも教会の名声と加害者の保護を優先した」と非難した。
ローマ法王庁は、バチカン市国に居住している人々にのみ直接的な責任をもつとの立場を採っている。だが委員会は、法王庁は傘下の組織や個人に対して強力な影響力を持つとしてこの主張を認めなかった。
今年1月、ローマ法王庁は2011~12年に児童への性的虐待が原因で400人近い聖職者が自主的に聖職を放棄したり、解任されたりしたことを認めている。