エジプト軍が「エイズ完治装置」を開発?
(CNN) エジプト陸軍がエイズとC型肝炎を完治できる装置を開発したと発表し、医学界から集中非難を浴びている。大統領顧問はこの発表について、同国のイメージを損ねる「科学スキャンダル」と言い切った。
発端は、がん治療検査センター所長を務めるイブラヒム・アブデルアティ少将が23日、「100%の確率でエイズに打ち勝った。C型肝炎にも打ち勝った」と発表したことだった。
同少将の研究チームによると、軍が発明した「完治装置」は患者の血液を取り出して病気を分解し、浄化した血液を患者に戻すというもの。わずか16時間で完治できると主張している。
この「奇跡の装置」は同国の厚生省も承認したとされ、発表会には軍トップのシシ氏も出席した。
これに対して専門家からは発表の直後から批判が噴出。科学担当の大統領顧問は25日の地元紙に、「軍の発明についての発表は、エジプトの科学者と科学のイメージを傷つけるものだ」とコメントした。
血液を採取せずにC型肝炎を検出できるとうたった装置を調べた肝臓専門医も、「科学に関する言及は何もなかった」と述べ、「学会では容認できない」「科学的事実を発表すべき場は論文や学会誌であり、記者会見ではない」とこきおろした。
だがエジプトでは、昨年ムルシ前大統領を失脚させた軍に対する熱狂的な支持者も多く、報道機関や議員からも軍を称賛する声が相次いでいる。話題の装置は6月から提供されると報じられ、国営メディアの記者は「医学界が長年解決できなかった危機を打開するものだ。歓迎するのが当然」と促した。