タイ、非常事態宣言を解除 観光業に追い風
(CNN) タイ政府は19日、首都バンコクとその周辺に出していた非常事態宣言を解除した。
非常事態宣言は2月2日の総選挙を目前にした1月22日に、60日間の期限で発令された。バンコクでは昨年11月以降、反政府デモが激化し、20人以上の死者が出た。
19日以降は治安維持法を適用する。期限は4月30日まで。治安維持法の下でも、夜間外出禁止令や検閲、デモ隊の移動に対する制限などは可能だという。
英字紙バンコク・ポストは治安維持法について、3月30日の上院選や4月に予定される総選挙の再選挙の間の秩序を保つために必要とされると伝えている。
政府は非常事態宣言の解除を前倒しした理由について、観光業や経済への悪影響に配慮したとしている。
政府はメディアに「治安維持法の利用は、特にビジネスや投資、観光におけるタイのイメージ改善に役立つ」と説明した。
11月~2月はタイの旅行シーズンだが、外国人観光客の数は大きく減少したとみられている。国営タイ通信社によれば、今年の外国人観光客数の見通しは当初、2810万人だったが、3%減の2750万人に引き下げられたという。
2月に入り、デモの規模は縮小し、バンコク市内ではデモ隊の複数の拠点が閉鎖された。それでもインラック首相の退陣を求めるデモ隊は、中心部にあるルンピニ公園に集まっている。
非常事態宣言の解除を受け、タイ国政府観光庁は世界規模の観光促進キャンペーンを計画しているという。
政府観光庁のタワチャイ・アルンイク総裁は「非常事態宣言によって旅行者が不便を被ったことはほどんどないが、解除はバンコク情勢が急速に正常化していることを示すしるしだ」と述べた。