大気汚染の死者、世界で700万人に WHO
世界保健機関(WHO)がまとめた統計によると、大気汚染を原因とする2012年の死者は世界で推定700万人に上り、その半数以上は調理器具などから発生する室内の煙に起因しているという。
大気汚染と関連する主な死因は心疾患や脳卒中、慢性の肺疾患、肺がんなどが占める。WHOの専門家は、「世界で現在、大気汚染以上に健康を脅かす要因はほとんどない」と述べ、大気汚染の解消に協力して取り組む必要があると指摘する。
地域別では大平洋西部(東アジアと太平洋の島々を含む)の死者が280万人、東南アジアは230万人に上る。東南アジアではこのうち170万人が、室内の大気汚染のため若くして命を落としているという。
WHOの推計によれば、世界で30億人が現在も石炭やまき、たき火などを調理に利用。特にインドではその割合が63%を占める。こうした燃料は微粒子物質や一酸化炭素などの有害物質を発生させ、特に途上国では女性の方が男性よりも室内の大気汚染にさらされやすいという。
一方、屋外の大気汚染による死者は推定370万人で、低所得から中所得の国が80%強を占める。原因はディーゼルエンジンや工場の排気にあり、60%は脳卒中や心疾患などの心臓血管系疾患で死亡している。