イラク首相、クルド人の外相解任 内政混乱さらに悪化の恐れ
バグダッド(CNN) 複数のイラク政府高官は11日、マリキ首相が少数派クルド人のジバリ外相を同日解任したことを明らかにした。暫定的な後任者には、同首相と同じイスラム教シーア派に属するフセイン・シャハリスタニ副首相(エネルギー問題担当)を任命した。
ジバリ氏は過去10年以上、外相を務めてきた。マリキ首相は現在、スンニ派系の過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の軍事攻勢に直面する他、同国北部のクルド自治政府が独立の構えを強めるなど政権存続の危機にあり、退陣圧力も強まっている。ジバリ氏の解任は、宗派抗争や民族対立をさらに煽る可能性がある。
マリキ首相は10日、クルド自治政府と、ISISや旧フセイン政権時代の与党であるバース党関係者のつながりをほのめかす発言を行い、クルド人勢力の反発を買っていた。政権に参加するクルド人閣僚は閣議をボイコットするなどしていた。首相はこの後、ジバリ氏解任の措置に踏み切っていた。
クルド人勢力は首相の言動について、内政危機の原因をシーア、スンニ両派間の宗派抗争からアラブ人対クルド人の民族対立にすり替えようとしていると批判している。
一方、クルド自治政府は12日までに、北部にある中小規模の油田2カ所を新たに制圧したと発表した。イラク石油省との間で最近締結していた新たなパイプライン敷設計画が意図的に妨害されたことを制圧の原因としている。自治政府とバグダッドの中央政府は北部の一部地域の帰属権の問題で長年争っている。