ギリシャ沖のフェリー火災、死者10人に 400人以上救出
イタリア南東部ブリンディジ(CNN) イタリアの沿岸警備隊は29日、ギリシャ沖のアドリア海で起きたフェリー火災による死者が少なくとも10人に上ったと発表した。
残る427人の乗客・乗員は、同日午後3時前に船長が救助されたのを最後に、全員脱出を完了した。
イタリアの検察は刑事捜査の一環として船体の押収を求めている。現場はアルバニア領海内に位置するため、同国当局の承認が必要になるという。
フェリーはギリシャ北西部イグメニツァからイタリア中部アンコーナへ向かっていた。火災は28日午前、車庫部分で発生したとみられる。
約3時間後までに救命ボートで約150人が脱出したものの、船の電源が失われた後はボートが出動できず、多数の乗客らが冷たい雨と煙の中、上甲板で立ち往生した。乗客が携帯電話で撮影した映像には、割れた船窓越しに燃え盛る炎が映っている。
暗視装置を搭載したヘリコプターが夜を徹して救出活動を続け、イタリア海軍の医療チームが船上で負傷者らの手当てに当たった。イタリア南部バーリの港には、生存者49人を乗せた貨物船が到着した。
救助されたトラック運転手は、車庫には石油を満載したトラックが多数詰め込まれていたと指摘。波が荒く船が揺れたためにトラックの荷台と天井が接触し、火花が発生して火災の原因になったのではないかと話した。
ギリシャ当局は、船内の防火扉が稼働しなかったため、短時間で船内に火災が広がったとの見方を示している。