船員のいない難民船が増加、密航斡旋の新手法か
ローマ(CNN) 数百人の難民を乗せた船員のいない船がイタリア南東部沖で動力のない状態で漂っているところを発見され、アイスランド沿岸警備隊によってイタリアの港に牽引(けんいん)されたことが3日までにわかった。イタリア沖で船員のいない船が救助されたのは今週に入り2度目で、密航あっせん業者の新たな難民輸送手段になっている可能性が懸念されている。
イタリア沿岸警備隊によると、昨年9月以来、主にシリアからの難民を乗せた同様の貨物船が計15隻見つかっている。
貨物船は、すでに難民が乗った状態でギリシャかトルコの港を出航する。これらの船は地中海の航行に適さない古い商船だが国旗か偽の旗を掲げているという。
一見、普通の商船に見えるため、トルコやギリシャの領海を疑われることなく航行するが、難民船の救助が行われるイタリアの領海に入ると、衛星電話で人道支援組織か、イタリア沿岸警備隊に直接救助要請を行う。
それまで密航船に乗っていた密航あっせん業者らは、船を捨てるか難民の中に紛れ込む。そのため、陸上で船に乗っていた難民全員の聞き取り調査を行わない限り、あっせん業者は特定できないという。
密航あっせん業者は、今週の2回については、一度廃船になった大型貨物船を使用する方法を使ったと見られる。
欧州連合(EU)加盟国の国境警備隊の活動を調整する欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)の報道官の推定では、今回救助されたエザディーン号に乗っていた難民が支払った「密航料」は1人約3000ドルで、今や密航あっせん業は数百万ドル規模の巨大ビジネスになっているという。
エザディーン号は西アフリカのシエラ・レオネの国旗を掲げていた。イタリア沿岸警備隊によると、イタリア当局は1日夜に同貨物船からの救難連絡を受けたという。
コリリアーノ・カーラブロの港長によれば、船には約360人の難民が乗っていた。そのうちの74人が18歳未満で、4人が妊娠しているという。
赤十字によれば、全員、健康状態は良好で入院や隔離が必要なものはいないという。
アイスランド沿岸警備隊は、フロンテックスの監視活動を行っている時に、イタリアから協力を要請された。