著名脱北者の申さん、ベストセラー本の証言を一部翻す
(CNN) 北朝鮮の強制収容所で生まれ育った過酷な体験を語っていた脱北者の男性が、証言の一部に事実と異なる部分があったと告白したことが19日までに分かった。この男性の証言をもとに執筆されたルポ「エスケープ・フロム・キャンプ14」(邦題:北朝鮮14号管理所からの脱出)の出版社と著者が明らかにした。
同書は北朝鮮から脱出した申東赫(シンドンヒョク)さんの証言を米ワシントンポスト紙の元記者ブレイン・ハーデンさんがまとめた内容で、ペンギン・ブックスから出版されベストセラーとなった。申さんは国連でも演説し、CNNを含む世界各国のメディアに取り上げられていた。
ハーデンさんはこのほど自身のウェブサイトに掲載した告知で、「ストーリーの重要部分」について申さんが証言を翻したと説明。「申さんが自分の人生について友人たちに語っている内容が、私の著書と大幅に異なることを1月16日に知った」「申さんに連絡してこの違いについて問いただし、なぜ私をだましたのか説明させた」と述べている。
ワシントンポスト紙がハーデンさんの話として伝えたところでは、申さんの証言内容のうち、ひどい拷問を受けていたなど「最も恐ろしい部分」が事実であることに変わりはない。ただ、一部の時間や場所についての証言に誤りがあることが分かった。
CNNは申さんにコメントを求めたが返事はなかった。申さんのフェイスブックにはワシントンポスト紙の記事へのリンクが張られ、「私がどうしても覆い隠しておきたかった過去がもう隠せなくなった」「私を支え、信頼し、信じてくれた人たちに感謝すると同時に、本当に申し訳なく思う」というコメントが掲載された。