ISISの身代金要求を巡る6つの疑問 日本人人質事件
4.どんな額の身代金が要求され、支払われているのか
要求される身代金の額は、さまざまな要因で決まる。人質が著名な人物だった場合は高額となり、誘拐犯が個人であれば比較的少額となるだろう。
金額は時とともに上がる傾向にある。10年前の平均は20万ドルと報じられたが、今では数百万ドルが相場のようだ。グローバルポストのフィル・バルボニ最高経営責任者(CEO)がCNNに語ったところによれば、欧州諸国が人質事件で支払う身代金は200万~400万ドルと推定される。
だがそれに比べても、ISISが日本に突きつけている2億ドルや、フォーリーさん殺害の前に要求した1億3200万ドルは法外な額だ。ISIS側も支払われるはずがないと承知したうえで、声明を出したり人質を殺害したりすることを目当てに身代金を要求しているのではないかと思わせる。
5.身代金に関して、日本や同盟国はどのような方針を示しているのか
安倍晋三首相は20日の記者会見で、身代金支払いや解放交渉の可能性を否定しなかった。日本政府は支払いや交渉に応じるつもりがあるということだろうか。
そうとは限らない。日本はこれまでにイスラム過激派への身代金支払いを公に認めたことはないが、だからといって今回支払わないとも言い切れない。
日本は13年、「テロリストに身代金を支払わない」とする主要8カ国(G8)の合意に加わった。これは米英両国の方針でもある。フォーリーさんの母親は米当局から、自力で身代金を集めようとすれば訴追の対象になると警告されたという。
こうした方針の背景にあるのは、ISISやアルカイダのような組織は必ずしも信用できないとの判断だ。要求に応じても人質が解放される保証はない。応じてしまえばさらに拉致事件が続発し、支払った金はテロ攻撃の資金として使われる恐れがある。