パレスチナ難民キャンプをISISが制圧、住民窮地に
(CNN) シリアの首都ダマスカス南部にあるヤルムーク難民キャンプが「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」などの過激派に制圧され、パレスチナ難民が窮状に陥っている。国連機関やパレスチナ解放機構(PLO)は国際社会に支援を呼びかけた。
「シリア人権監視団」(本部・英国)などによると、ヤルムーク難民キャンプの90%はISISと国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」に制圧されているという。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は5日の声明で、同キャンプで暮らす難民が深刻な脅威にさらされていると述べ、緊急に人道援助を届ける必要があると訴えた。
ヤルムーク難民キャンプは2012年12月からシリア政府軍と反体制派の戦闘に巻き込まれ、推定1万8000人が取り残されているという。UNRWA広報は、「ただでさえ人権がほとんど意味を持たない場所だったが、その状況がさらに悪化している」と危機感を募らせる。
シリア国営SANA通信は、食料や水、医薬品が不足し、2日間で2000人あまりが同地から脱出したと伝えた。
同地に住んだことがあるというシリア人活動家は、「誰もがキャンプから離れようとしている」「電気はなく、ISISが病院を占拠しているためけが人が行く場所もない」と話す。
衝突は今も続き、人権監視団によれば、5日にはキャンプ内にたる爆弾が着弾した。
PLOは国際機関に対し、キャンプからの難民脱出を支援するよう呼びかけている。PLO幹部のサエブ・エレカット氏は4日、「ヤルムークでは残忍な殺人や占領が展開され、誘拐や斬首、集団殺人が報告されている」と訴えた。
ヤルムークはシリア最大の難民キャンプで、アラブとイスラエルの衝突を逃れたパレスチナ難民のために1957年に設置された。