少女時代の英女王がナチス式敬礼 大衆紙報道に論議
ロンドン(CNN) 英大衆紙サンはこのほど、エリザベス女王が少女時代、ナチス式の敬礼でポーズを取ったビデオと写真を公表した。家族でくつろぐ場面だったとみられ、王室は80年以上前のプライベートな映像が流出したことに不快感を示している。
ビデオは1933年、女王が6歳前後の時にスコットランドのバルモラル城で撮影されたとみられる。当時ドイツではヒトラーが首相に就任し、ナチス政権が誕生したばかりだった。
長さ17秒間のビデオに、当時の女王と母親(後のエリザベス皇太后)、妹マーガレット王女、伯父のエドワード王子(後の国王エドワード8世)が映っている。エドワード王子に促されて女王ら3人がナチス式敬礼をした後、王子自身もこれに加わっている。
エドワード王子は1936年に王位を継承したが、離婚歴のある米国人ウォリス・シンプソン夫人と結婚するために退位した。ナチスに共感を寄せていたとされ、37年にはドイツでヒトラーと会談した。
サンはウェブサイト上でビデオを公表し、さらにその一場面をとらえた写真を新聞の一面に掲載。ロンドンの歴史学者の話として「王室への重大な疑問を生じさせる史料だ」と伝えた。ビデオは数年前に作られた複製だとする一方、撮影者や入手経路には言及していない。
王室は、女王らが当時のニュースなどで目にしたポーズを無邪気にまねていただけだと述べ、「だれもその後の展開を予測してはいなかった」と強調した。
エリザベス女王は今年6月、夫のフィリップ殿下とともにドイツを訪問し、ナチスの強制収容所跡などを訪れた。