ロシアがシリアで対ISIS空爆 米政府は懐疑的な見方
ワシントン(CNN) ロシア軍が過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の拠点を狙った空爆をシリアで開始した。ロシアのラブロフ外相は、シリアのアサド大統領からの要請を受けて空爆を実施したと説明しているが、米政府からは目標などについて懐疑的な見方が出ている。
ロシア国防省によれば、ISISの兵器や輸送、通信、指令などの拠点8カ所を戦闘機で空爆した。
米軍率いる有志連合は、ロシアからの中止要請を受けながらもシリアでの空爆を続けている。米国務省のケリー長官は国連安全保障理事会の会合で、「ISIL(ISIS)を標的とするシリアでの爆撃は、過去24時間で何度も行い、わずか1時間前にも実施した。今後も継続する」と強調した。ISISを標的とした有志連合による空爆は、これまで3000回に上っているという。
ケリー長官はさらに、ISISとの戦闘をシリアのアサド大統領に対する支持と混同することがあってはならないと力説。「ISILとアルカイダ系組織の拠点ではない地域をロシアが空爆したとすれば、深刻な懸念が生じる。ロシアの真意がISILとの戦闘にあるのか、それともアサド政権を守ることにあるのかという疑問がわく」と語った。
その後、ケリー長官とロシアのラブロフ外相は、両国間で近く軍事協議を行うと発表した。
米国防総省のカーター長官は記者団に対し、「(ロシアが空爆した)地域はISILの拠点ではなかったようだ」と述べ、「こうした行為は必然的に、シリア内戦の激化を招く」と批判した。