「もうすぐ90歳」 カストロ前議長、自らタブーに言及
キュバ・ハバナ(CNN) キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長が19日、キューバ共産党大会の最終日に登場し、自身の健康状態について「私は間もなく90歳になる。そうなるとは思っていなかったし、取り立てて努力した結果でもない。ただ運命のなせるわざだった」と振り返った。
この様子はキューバの国営テレビが放映した。やせ細ったフィデル氏が青いジャージ姿で登壇し、弟のラウル・カストロ国家評議会議長(84)の隣に座ると、集まった1000人あまりの党員から盛大な拍手が起こった。
フィデル氏は「私も間もなくほかのすべての人と同じようになる。私たちすべてにその順番が来る」と述べ、同国でタブーとされていた話題に初めて自ら言及。「これは私がこの部屋で行う最後に近い演説になるかもしれない」「だがこの地球上において熱意と尊厳を持って働けば、人類が必要とする物質や文化を作り出せることの証明として、キューバ共産主義の理念は存在し続ける」と力説した。
フィデル氏は腸の重大な疾患のため2006年に国家評議会議長職を退いた。同国高官によれば、政策立案にはかかわっていないものの、重大な決定事項については相談を受けているという。
国営メディアを通じて世界情勢についての積極的な発言も続けており、3月にはオバマ米大統領のキューバ訪問を非難するコラムを寄稿していた。
キューバの共産党大会はほぼ5年に1度開かれる。3日間にわたった今回の大会では、フィデル氏の弟のラウル氏が国家評議会議長に再選された。任期は2021年まで。同氏は先に、2018年で引退し、次の世代に議長職を託す意向を示している。