NATO防衛費、大半が「支出不足」 合格は5カ国のみ
ニューヨーク(CNNMoney) 欧州などの28カ国で構成する北大西洋条約機構(NATO)は24日までに、加盟国に求める国防費の基準を満たしているのは米国、ギリシャ、ポーランド、エストニアに英国の5カ国に過ぎないと報告した。
NATOは加盟国の軍事費は国内総生産(GDP)の少なくとも2%との公式指針を打ち出している。加盟国の中で経済大国であるドイツの比率は昨年1.18%と大きな開きがあり、フランスは1.8%だった。
比率が1%以下なのは、チェコ、イタリア、スロベニア、ベルギー、スペインとハンガリーの6カ国。英国ウェールズで2014年に開かれたNATO首脳会議で、指針の比率を達成していない全加盟国は10年内に軍事費を徐々に増やすことも決まっていた。
一方、米国の昨年の軍事費は推定6500億ドル。他の27カ国の国防費を全て足した額の倍以上となっている。これら27カ国全体のGDPの規模は米国を上回っている。
米国の軍事費は1949年のNATO創設以降、他の加盟国より常に多かったが、その差は01年の米同時多発テロの影響もあり拡大してきた。世界最多の米国の国防費はGDP比では3.62%。これに次ぐNATO加盟国はギリシャの2.46%となっている。
NATO自身、必要不可欠な軍事能力で米国への依存が過大になっていることを自覚している。これらの能力には情報収集、空中給油、弾道ミサイル防衛や空中での電子機器利用の作戦遂行などが含まれる。
NATOは加盟国が攻撃された場合、全加盟国への攻撃と位置付ける集団防衛の原則を採用している。ただ、この原則が発動されたのは米同時多発テロ時の1回しかない。