ケニア、難民キャンプの閉鎖発表 60万人が居場所失う
ケニア・ナイロビ(CNN) アフリカ東部のケニア政府は6日、同国内にある世界最大規模のダダーブ難民キャンプを含む複数の難民収容施設を閉鎖させる方針を明らかにした。
実行に移した場合、大半が隣国ソマリアから流入した60万人以上の難民らが居場所を失うことになる。ソマリアとの国境線近くにあるダダーブ難民キャンプには30万人以上が収容されている。
ケニア内務省高官は声明で、閉鎖措置について経済、治安維持や環境の各方面でケニアが強いられている重い負担が理由と指摘。特に国家安全保障上の利益を考慮したとし、ソマリアに拠点があるイスラム過激派「シャバブ」などの脅威に言及した。ただ、難民の移送先については触れなかった。
ケニア政府は昨年もこれらキャンプ閉鎖を発表していたが、国際社会からの圧力もあり棚上げにしていた経緯がある。同国政府当局者は当時、キャンプから締め出された難民の新たな収容先についてはケニアから出国し、ソマリア内のどこかになるとの判断しか示していなかった。
ケニア政府は今回のキャンプ閉鎖に伴い、国際社会が団結し数十万人規模の難民の人道対策の負担に責任を負うよう要請した。
これに対し国際人権団体アムネスティ・インターナショナルはケニア政府の無謀な決定を非難。アフリカ東部などを担当する同団体責任者は今回の決定は弱者保護の義務の放棄であり、多数の人々の生命を危険にさらすものと弾劾した。また、順守すべき国際法の違反でもあると主張した。