アレッポ空爆、衝撃映像に映った少年の兄が死亡
ヨルダン・アンマン(CNN) シリア北部アレッポの空爆現場から救出され、ぼう然と椅子に座る姿の映像が世界に衝撃を与えた少年の兄が20日、空爆で負った重傷が原因で死亡した。
シリア反体制派団体「アレッポ・メディアセンター」の責任者によると、死亡したのはアリ・ダクニシュ君(10)。救出後の映像が注目を集めた5歳の少年、オムラン君の兄だ。
アリ君は自宅が空爆を受けた17日から重体に陥り、20日朝にアレッポ市内の野戦病院で息を引き取った。兄弟の母親も重体で、引き続き治療を受けている。一家は同市内にとどまっているという。
アレッポではアサド政権軍と反体制派の攻防が続く。在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」によると、同市内の戦闘では今月だけで、アリ君を含め448人が死亡した。このうち100人が子どもだった。
政権軍とロシア軍による空爆で過去1年10カ月の間に死亡した人は1万2500人以上。このうち子どもは4500人以上に上っているという。
一方ロシアはシリアでの空爆について、民間人を標的にしているわけではなく、武装勢力から身を守るのが目的だと主張してきた。
米国とロシアがシリアでの空爆作戦で協力態勢をめざす可能性も指摘されているが、オバマ米政権の戦争犯罪問題担当特使を務めていたスティーブン・ラップ氏は18日、CNNとのインタビューで「戦争犯罪を犯している人々との共同作戦に参加するのは賢明ではない」と主張。オムラン君の映像に言及し、「対ISISで連携するべきだというが、こんなことをする人物が有益な相手になり得るだろうか」と問い掛けた。