イスラエル、ユネスコとの協力関係を停止 聖地への言及で
エルサレム(CNN) イスラエルは15日までに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)がまとめたエルサレムの聖地に関する決議案がユダヤ教とのつながりを無視しているとして、ユネスコとの協力関係を停止した。
ユネスコ執行委員会の下部組織は13日、この決議案を仏パリで採択していた。
決議案では、キリスト教とユダヤ教、イスラム教の各一神教にとってのエルサレムの重要性を指摘しているものの、キリスト教徒やユダヤ教徒にとってなぜエルサレムが重要なのかに関しては言及がない。ユダヤ教で「神殿の丘」として知られる最も重要な聖地については、「ハラム・アッシャリーフ」というイスラム名だけで呼んでいた。
この決議案はエジプトなどのアラブ諸国により提案されたもので、エルサレムやヨルダン川西岸、ガザ地区におけるイスラエルの行動に対しおおむね批判的な内容となっており、イスラエルと米国が激しく非難した。
イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルと神殿の丘を結びつけない記述は中国と万里の長城を結びつけないようなものだと指摘。「今回のばかげた決議により、ユネスコにわずかに残されていた正統性は失われた」と強く批判した。
ベネット教育相は決議後、ユネスコとの間の全ての専門的な活動を停止すると発表した。
米国務省のトナー報道官も、政治的な動きだとして一連の決議を批判した。ユネスコは4月にも同様の決議を採択し、イスラエルなどから激しい批判を浴びていた。
一方、パレスチナ自治政府の外務当局は決議を称賛。声明で「パレスチナは引き続き、国連組織も含めた利用可能なすべての法的、外交的手段を通じてパレスチナ人の権利を擁護していく」とした。
ユネスコのイリナ・ボコバ事務局長はイスラエルの批判を受け、自身も決議案を快く思っていないとの声明を発表。「エルサレムの普遍的な価値とユネスコの世界遺産への登録理由は統合にある。それは対話への訴えであり、対立を意味しない」と述べた。
ベネット教育相はボコバ氏の声明を歓迎した上で、言葉だけでなく行動が必要だとの認識を示した。
決議案は18日に行われるユネスコ執行委員会で採決にかけられる。全会一致で可決した場合は採択され、そうでない場合は継続審議となる。