米ロ軍機がシリア上空でニアミス
中東・米軍機上(CNN) 米国防総省は29日までに、シリア上空で今月中旬、ロシア軍の戦闘機と米軍の偵察機が異常接近していたことを明らかにした。
複数の米軍当局者によると、異常接近が起きたのは17日夜。両機ともライトを消したまま時速数百マイルの速度で飛行していたところ、米軍機がロシア軍機から0.5マイル(約800メートル)以内の距離まで接近した。ロシア軍機のジェット後流に入るほどの近さだったという。
中東地域における米空軍の作戦行動を指揮するジェフリー・ハリジャン中将は、今回の出来事を「ニアミス」と形容。ロシアの戦闘機が偵察機の護衛を務めていたことも明かした。
シリア内戦におけるロシアの役割をめぐり米ロの緊張が深まる中、今回のニアミスは、シリアでの紛争激化がこうした緊張をさらに悪化させかねないことを浮き彫りにした。米軍の当局者は、こうした緊張が既に存在することを踏まえると、「今回の出来事は無害なミスとは解釈されないだろう」と指摘する。
ハリジャン氏によれば、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が「首都」と称するシリア北部ラッカの奪還作戦が始動する中、米国はシリア北西部の上空に追加の航空機を投入している。このため、今回のような事態が起きる可能性はこの6週間で増大していたという。
米軍は米ロ両国の航空機が空中衝突するリスクなどを念頭に、ロシアとの間に緊急連絡用のホットラインを設置している。ニアミスがあった翌日の18日、米軍当局者がこのホットラインを通じロシア側に連絡を取ったところ、ロシア軍機のパイロットは今回の事態に気付いてなかったとの返答があったという。