中国・新疆で住民数百万人にパスポート引き渡し命令
北京(CNN) 中国北西部の新疆ウイグル自治区で、数百万人の住民が地元警察にパスポートを提出するように命じられていることが26日までに分かった。個人の自由への侵害だと非難する声が複数の人権団体から上がっている。
パスポートの提出命令は石河子市公安当局の出入国管理部門が10月19日に発令したもの。これによれば、パスポートは「年に1度のチェック」を経た後、警察で預かるという。
同部門の声明によると、海外旅行を希望する住民は地元当局の許可を求める必要があり、これを拒んだ者は出国を禁じられる可能性がある。
新疆にはイスラム教徒が主体のウイグル族約1000万人と漢民族約800万人が住む。
この命令が出された理由は明らかにされていない。ただ、ドイツに拠点を置く亡命組織「世界ウイグル会議」はウイグル系住民の行動を制限するための意図的な動きだと指摘。声明で「規定では一見すべての住民を対象にしているように見えるが、中国当局は以前、ウイグル系コミュニティーの移動の権利を特に制限するため、あからさまな措置を取ったことがある」と述べた。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国ディレクター、ソフィー・リチャードソン氏も声明で、「中国当局は住民からパスポートを取り上げる説得的な理由を挙げておらず、移動の自由の侵害だ」「地域全体でこのような措置を行うのは集団罰であり、既に緊張が高まっている地域で政府への怒りを増長させる」と批判した。
2015年9月に起こり50人が殺害された炭坑襲撃事件など、国内で近年相次ぐ攻撃について、中国はウルグル族分離主義者の犯行だとしてきた。ただ、亡命ウイグル族や人権活動家らは、中国政府の抑圧的な宗教政策や経済的な不遇な扱いがこうした社会不安を誘発していると指摘する。