米、シリア政策転換か アサド氏退陣は優先せず
(CNN) 米国のティラーソン国務長官は2日までに、シリアのアサド大統領の去就問題に触れ、「(同大統領の)より長期的な立場はシリア国民によって決められる」との見解を表明した。訪問先のトルコで述べた。
シリア内戦解決の前提条件としてアサド氏退陣を求めてきたオバマ前政権の政策転換を示唆したものとなっている。
この点に関し米国のヘイリー国連大使はより直截な表現で、アサド氏退任に固執しないトランプ政権の立場を表明。AFP通信によると、同大使はニューヨークで先月29日、「我々の優先事項はもはやアサド(氏)駆逐ではない」と言明した。
「彼が障害物かと考えているかと問われるなら、イエス」としながらも、「協議に臨み追放に焦点を当てるのかと尋ねられるならノー」と述べた。
ただ、CNNの取材に応じた米政府当局者は大使発言の真意は誤解されていると説明。アサド大統領に自由のお墨付きを与えたわけではないと主張した。大使はニューヨーク市での米外交問題評議会の会合でアサド氏を「戦争犯罪人」と呼び捨てていることに注意を向けた。
同当局者はその上で、シリア情勢に関するトランプ政権の優先事項はアサド氏の処遇問題が大半を占めているわけではなく、過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の掃討、イランの影響力拡大の阻止、地域の同盟国防御や内戦終結の試みなどとした。
アサド氏排除を重要視しないトランプ政権の政策方針が事実なら、アサド政権存続に肩入れし、米国の同盟国である欧州諸国やトルコと対立するロシアの立場に近付くことになる。
ティラーソン長官やヘイリー大使の発言は米連邦議会内から批判も招いている。シリアへの軍事介入拡大を長く主張してきたマケイン上院議員は声明で、政権軍のたる爆弾で殺りくされているシリア国民はアサド氏の運命や自国の将来を決めることが出来ないという悲惨な現実の存在を見逃していると反発した。