北朝鮮について「話すことない」、米国務長官が不可解発言
(CNN) 北朝鮮が5日に弾道ミサイルを発射したことを受け、米国のティラーソン国務長官は異例の短いコメントを発表した。その意図をめぐって憶測が飛び交っている。
ティラーソン氏は声明で「北朝鮮がまたしても中距離弾道ミサイルを発射した。米国はすでに北朝鮮について十分語ってきた。これ以上話すことはない」と述べた。
この短文に込められた意図は不明だ。北朝鮮に対して強気の態度を示そうとしたのか。あるいは、習近平(シーチンピン)中国国家主席の訪米を前に北朝鮮が気を引こうとしていると考え、それを拒否すると宣言したのか。
第2次世界大戦中の英首相、チャーチルの名言にある「謎かけ」のようでもあり、米作家ヘミングウェイの淡々とした、簡潔な文章のようでもあるが、解釈が非常に難しいことは確かだ。
ひとつ分かっているのは、トランプ米政権が北朝鮮への強硬姿勢を強めているということだ。トランプ大統領は最近、核開発問題の解決に中国が協力しないなら、米国が単独で対応するとの構えを示した。ホワイトハウスの高官は4日、「時間切れだ。あらゆる選択肢を検討する」と語った。
だとすれば、ティラーソン氏のコメントは「対話の時間は終わり、行動を起こす時が来た」と解釈するのが正しいのかもしれない。
だがいずれにせよ、外交の場ではあいまいさを避ける必要がある。誤解が最悪の事態を招くことさえ考えられるからだ。
北朝鮮や中国は同氏のコメントを挑発と取るか拒絶と取るか、あるいはまったく別のものととらえるか。見当がつかないところに問題がある。こうした重大な問題に対する米国の立場を他国に正確に伝えることが、国務長官の最大の任務なのだ。