孤立し見捨てられ 中国農村部の高齢者、その悲痛な現実
人力資源・社会保障部によると、1993年の時点では、保険金を納める現役世代5人で社会保険受給者1人を支える構図だった。
2050年には、この割合が1.3人対1人に縮小するとみられている。
急速に進む高齢化の要因として大きいのは一人っ子政策だ。1980年の導入後の出生率急落を受け、高齢者の面倒を見る若者がきょうだい間で負担を分担することはできなくなった。
都市に出た子どもの間では、余裕をもって親の面倒を見るには稼ぎがまだ不十分と不安も広がっている。
解決策が見つかるまでの間、自力で生活しなければならない高齢者は増える一方だ。チンさんとスンさんの場合、トウモロコシを売って得る年収約1500ドルで暮らしている。
スンさんは「子どもに面倒を見てもらうのは難しい」「稼ぎが多いわけではないし、私たちも負担になりたくない」と話す。
しかし、いつの日か、毎日100キロのまきを運ぶのは身体的に不可能になるだろう。チンさんのがんが悪化したり、スンさんが滑って転倒したりする可能性もある。
その日が来れば、年老いた他の多くの中国国民と同様、チンさん夫婦も子どもに頼らざるを得なくなる。果たして社会全体にその余裕があるか――将来に向けて中国に課された大きな問いのひとつだ。