急激に少子化進む韓国 軍も兵士確保に苦心

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米軍との合同演習に参加した韓国軍海兵隊=2023年3月/Anthony Wallace/AFP/Getty Images

米軍との合同演習に参加した韓国軍海兵隊=2023年3月/Anthony Wallace/AFP/Getty Images

ソウル(CNN) 出生率が世界最低水準の韓国は、緊張が高まりつつある西太平洋地域における新たな脅威への対応を迫られる中、将来的に十分な兵力を確保できなくなる恐れがあるとアナリストらは警告する。

北朝鮮の核やミサイルの脅威を常に警戒する韓国は、現在約50万人の現役兵士を抱える。しかし、韓国では女性1人が一生のうちに産む子どもの数を示す合計特殊出生率がわずか0.78と低く、専門家らは軍の規模縮小は避けられないと指摘する。

ソウルの祥明(サンミョン)大学の教授で、国家安全保障が専門のチェ・ビョンウク氏によると、韓国が現在の兵力を維持するには、年間20万人を募兵または徴兵する必要があるという。

しかし、2022年に生まれた新生児は25万人に満たず、男女の割合がほぼ均等と仮定すると、その新生児たちが入隊する年齢を迎える20年後には、採用目標人数20万人に対し、採用可能な男性の数は約12万5000人しかいないことになる。

韓国では女性の徴兵は行われていない。また韓国国防省によると、韓国軍における女性志願兵の割合はわずか3.6%だという。

今後も年間出生数の減少が見込まれており、韓国統計庁によると25年には22万人、72年には16万人まで減る見込みだという。

20年前から準備

22年の韓国の国防白書によると、韓国政府は00年代初頭に「北朝鮮からの脅威が今後徐々に弱まるとの前提」に基づき、現役兵士を06年の67万4000人から20年までに50万人まで減らし、軍の少数精鋭化を進めたという。

韓国軍は、02年から22年までの20年間に兵士の数を27.6%減らし、その目標を達成したが、そもそも北朝鮮からの脅威が弱まるとの前提自体が間違っていた。

北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は、11年に国の実権を握って以来、軍の大幅な増強を進めており、特に弾道ミサイル計画に力を入れている。

北朝鮮国営メディアの朝鮮中央通信(KCNA)によると、北朝鮮が今年5回目の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を行った後、金総書記は、米国が朝鮮半島内外に核兵器を搭載可能な複数のプラットフォームを配備したことに言及し、敵が核兵器で挑発してきたら、北朝鮮も核攻撃をためらわないと警告したという。

ハイテクの導入に活路

韓国は、北朝鮮の脅威に対抗する手段として科学に目を向け、軍が直面する人材危機を技術変革の機会ととらえるべきだと専門家らは指摘する。

韓国国防省は05年に、20年までに従来の軍を科学技術中心の軍隊に発展させる計画を発表したが、進捗は芳しくない。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻は、現代の戦場では単に兵士の数が多いだけでは不十分であることを世界に示した。

米国防総省の最近の評価によると、ロシアの侵攻前の地上軍を構成していた36万人の兵士(徴集兵と契約兵を含む)のうち、31万5000人が戦場で命を落としたという。

ウクライナは、西側の同盟国から供給されたドローン(無人機)やハイテク兵器を使い、数で勝るロシア軍に大打撃を与えている。

韓国も自国の戦闘部隊に新しい技術を取り入れることに重点を置いている。

韓国国防省は昨年、AI(人工知能)を基盤としたMUM―T(有人機と無人機を連携した)戦闘システムに段階的に移行すると発表し、さらに「未来の陸軍」と言われるアーミータイガー示範旅団を導入した。この部隊は、人間の兵士と無人兵器の両方を活用して任務を遂行する。

また韓国は、中高度偵察用無人航空機(MUAV)や水中無人機(UUV)などの無人軍事装備の開発も進めている。

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