相手に伝わる話し方・書き方をマスターする

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英語を書く~英語は引き算の言語~

英語のプレゼンがテーマになって話は進んできたが、次は、英語でどうやって効果的に文章を書くかのポイントを簡単に説明しておこう。書いてメッセージを伝えるということは、文字のみで相手に言いたいことをイメージさせなければいけないので相当の技術が必要となってくる。

まず手始めに、E-mailを書く場合に、最初にタイトルを決めて、書き終えた文章の内容がきちんとタイトルに呼応した内容になっているかを確かめるクセをつける。ここから始めよう。一つのメールに幾つもの要件を詰め込むのではなく、詰め込み過ぎたらメールを分けタイトルを改めて別件にする。これが意外と日本人は英語で文を書く時にできていない。

英語圏の大学に留学すると第二外国語で英語を学ぶ学生は作文の授業が課せられる。そこで英語の文章構成法を徹底的に仕込まれる。そこでは、一つの段落に本当に言いたい核となることを一つだけ書く。と強調して教えられる。E-mailで言えば、subject line (件名)に自分が本当に伝えたい案件を的確に伝えるタイトルを練りあげて書き、本文にはその件名に合致した内容だけを絞って書く練習をしてみる。ある意味、本文より、タイトル選定をしっかりやることによって、書く中身がブレなくなる。話の内容が変わるのであれば、もうRE:だけでメールを返すのは卒業しなければならない。

英語の文章は重点先行型だ。書き出しの一文に言いたい主張を込め、そこから直接的、断定的に例証展開していく。まるで、刑事が、【犯人はお前だ!】と最初に言って、次々、物的証拠を挙げて行く感覚である。その点日本語は全く逆である。このような物的証拠があるんだから、お前が犯人だ。という結論先送りの展開で、まずは例証から始めたがる。英語はそうではない。

この白黒を最初から決めたがる英語を、“彫刻型言語”と表する人もいるくらいだ。輪郭を邪魔するものは極力そぎ落とすをモットーにするのが英語だからだ。よって、引き算の言語とも呼べる。英語を書く時は彫刻家になった気持ちで、引き算をするように書く。日本語は足し算の言語だから、犯人を名指しするまで、いくらでも物証を足そうとする。英語の至言“less is more !”(少なければ少ないほど、美しい。)は彫刻の世界から生まれた言葉だが、英文を書く上でも当てはまる。

ネイティブが話したり書いたりする英語表現を、自分のライティングスキルに積極的に取り込んでいこう。そのためには“書くために読む”・“書くために相手の表現を聞き取る”という意識を常に持っておく必要がある。“書く”と“読む・聞く“が密接に連動し、この連動が結果的に”話す“を補強する。こうして、書くも読むも聞くも話すも繋がってきて、英語が自分の体にどんどん染みこんでいくのだ。

小さくはじめて大きく羽ばたく

外国語の四技能“読む、書く、聞く、話す“は、それぞれ相関している。読めるようになるために無目的に読みまくるというよりは、うまく書けるようになるために、作文に使えるような文探しの目で本を読む。聞き手に回っている時も、この言い方は自分が今度話す時に絶対使ってやるぞという気持ちで能動的に聞いてみる。このように、自分から得たいものを探すアンテナを張りながら受動的ではなく、能動的な心持ちで、英語を読み、聞くのがいい。それが結果的には話す・書くという二大アウトプットを強めることになる。

毎日1%の成長を続ければ、365日で1.01×365=37.8となり、およそ38倍の成長率になるのに対し、毎日、1%なまけると0.99×365=0.03となり、3%の力しかなくなるという計算式がある。一年間でその差はおよそ1480倍。語学力は筋トレに似ている。少しずつ努力していかなければならない。ただ、正しい努力をすれば必ず報われる。

おすすめ英語教材

やはりネイティブの周波数に自分のチャンネルを合わせた学習法でない限り、自分の英語は相手の英語脳に認知されない。自分でどんなに正しく発音しているつもりでも、周波数が正しくなければ、相手には雑音だ。だったら本場の発音を耳に浴びせかけ続け、英語の高音域パスバンドを作って行かなければならない。ロゼッタストーンで生のネイティブ英語を聞き、発音矯正も怠らない。コツコツと小さな正しい努力を積み、一年後には1480%の進化を遂げてみよう。思い立った日が吉日だ。

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【著者紹介】
溝江 達英(みぞえ たつひで)
カナダ ラヴァル大学文学部日本語科主任 

早稲田大学第一文学部、一橋大学大学院言語社会研究科を経て、カナダ ラヴァル大学文学部言語学科博士課程修了。言語学博士(Ph.D) 英語スピーチコンテスト優勝経験を持つ。英語に加え、仏、独、西、伊、露語も堪能な言語学者である。

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