ウクライナ・ザポリージャ原発に新たなロケット弾 IAEAが「核惨事」を警告
(CNN) ウクライナ国営原子力企業エネルゴアトムは7日、ロシア軍がザポリージャ原子力発電所にロケット弾を撃ち込んだとして非難した。この前日には国際原子力機関(IAEA)が、ザポリージャ原発で戦闘が起きれば「核惨事」のリスクを招くと警告していた。
ザポリージャは欧州で最大規模の原発。攻撃されたのはここ数日で2度目だった。ウクライナとロシアは非難の応酬を続けている。
エネルゴアトムによると、6日夜に発射されたロケット弾は、使用済み核燃料の入った容器174本が保管されている貯蔵施設付近に着弾した。原発の一部では爆発で窓が吹き飛び、作業員1人が破片で負傷して病院に運ばれた。
エネルゴアトムはテレグラムに投稿した声明で、「砲撃された場所の隣接地に保管されていた処理済み燃料の容器が狙われたようだ」と述べている。
放射線測定装置3台も6日に破損し、放射線の状況が悪化したり、使用済み核燃料容器からの放射線漏れが起きたりした場合でも、すぐに検知して対応することが現時点では不可能になっているとエネルゴアトムは説明。「今回は奇跡的に核惨事は避けられたが、奇跡は永久には続かない」と言い添えた。
ウクライナ政府は、ロシア軍が3月上旬から占拠を続けるザポリージャ原発に大型兵器を保管して、そこから攻撃を仕掛けていると非難する。一方、ロシア政府はウクライナ軍が同原発を標的にしていると主張している。
ザポリージャの親ロシア派地域行政機関トップは7日、ウクライナ軍が使用済み燃料の貯蔵場所を標的とし、管理棟を損壊したとする声明をテレグラムに投稿した。
ザポリージャ原発では5日にも高圧送電線が砲撃で破損し、原子炉1基が運転停止を強いられていた。放射線漏れは検出されていない。