ローマ帝国崩壊、原因はマラリア? 遺骨のDNAで原虫特定
(CNN) カナダ・マクマスター大学などの研究者は6日までに、古代ローマ帝国の墓地に埋葬された2000年前の人間の遺体から、マラリア感染の遺伝的な証拠を発見したとの論文を発表した。マラリアの流行がローマ帝国崩壊の一因になったとの説は以前から人気があり、今回の発見がこうした議論の進展に寄与する可能性もある。
研究者らはローマ帝国時代のイタリアの墓地3カ所に埋葬されていた成人58人、子ども10人の歯から採取したDNAの断片を調査。ミトコンドリアゲノムを復元し、人々に感染していた特定のマラリアの種類を同定することに成功した。
研究データから確認できたところよれば、このマラリアは熱帯熱原虫と呼ばれるマラリア寄生虫のもの。今日蚊によって媒介され、毎年数十万人の命を奪っている寄生虫と同じものだ。
論文の筆頭著者でマクマスター大の古代DNAセンターを統括するヘンドリック・ポイナー氏は「マラリアは古代ローマで広範囲に死をもたらした歴史上重要な病原体であった可能性がある」と指摘した。
研究者らは、マラリアによるローマ帝国の死者数は現在のアフリカにおけるマラリア関連の死者数と同程度に上ったと推定している。世界保健機関(WHO)によれば、2015年にはマラリアにより全世界で推定43万8000人が死亡。このうち91%はサハラ砂漠以南のアフリカに集中している。