人体で最大、新しい「器官」を発見? 米研究
(CNN) 米ニューヨーク大学などの研究チームが、体内の「間質」と呼ばれる空間の構造と分布に関する詳細を研究し、「人体の新しい器官を発見した」として、27日の学術誌に論文を発表した。人体で最大の器官かもしれないとの見方も示しているが、この説に対して異論を唱える専門家もいる。
間質は、全身の組織と組織の間の液体で満たされた空間をさす。間質組織や間質液については従来から知られていたが、今回の研究では、これまで認識されていなかった人体の機能が解明されたとして、間質を「器官」と呼ぶことを提唱した。
「当初我々は、これを単なる間質組織と考えていた。だが器官とは何かという定義に踏み込むと、器官とは単一構造または単一構造をもつ組織、あるいは単一機能をもつ組織だという考え方に突き当たる」。ニューヨーク大学のニール・シース教授はそう解説し、間質はその両方に当てはまると指摘した。
「この構造はどこを見ても同じで、我々が解明し始めた機能も同じだった」と同教授は述べ、「これは皮膚よりも大きいと思う」と語る。
人体で最大の器官と考えられているのは、体重のおよそ16%を占める皮膚。だが間質の場合、シース教授の推定で体重の20%を占め、若者の身体では約10リットル分に相当する。
シース教授の研究チームは、共焦点レーザーエンドマイクロスコープと呼ばれる技術を使った高性能の顕微鏡で、ヒトの胆管の生きた健康な組織を調べた。組織のサンプルは、ニューヨーク市内の病院で膵臓(すいぞう)の手術を受けた患者13人から採取した。
組織を蛍光液に浸して詳しく観察したところ、液体がたまる部分に空間があることが判明。こうした組織はそれまで、顕微鏡で調べると脱水状態になって厚い層のように見えていた。間質は脱水のためにつぶれて、これまでは気付かれていなかったという。