エジプト考古省は11日までに、かつて国内の博物館から盗み出された古代の銘板を取り戻したことを確認した。ロンドンのオークションに出品されることを事前に突き止め、英国当局などと連携して奪還にこぎつけたという。
取り戻したのは完全な銘板を構成する一部分で、紀元前16世紀ごろの古代王朝を統治していたアメンホテプ1世を象徴する装飾が施されている。1988年にルクソールの野外博物館から盗まれ、国外に持ち出されたとみられていた。
考古省の担当者は声明で、外務省や在英エジプト大使館、英国当局と連携して銘板の行方を追跡したと述べた。各国のオークション会社のウェブサイトを監視していたところ、英国内で競売にかけられているのを発見したという。
発見を受けて銘板は競売リストから除外され、昨年9月にロンドンにあるエジプト大使館に届けられた。考古省がエジプトへの帰還を公式に発表したのは今月8日のことだ。
古代エジプトの遺物をめぐっては、ギザの大ピラミッドの外面を構成していた石灰岩のブロックが、来月23日からスコットランド・エジンバラの国立博物館で展示される予定となっている。
ただエジプト考古省は、このブロックをエジプトから持ち出したことの正当性に異議を唱えている。博物館側は19世紀にスコットランド人の技術者が持ち帰ったとしているが、前出の考古省担当者は、国外へ違法に持ち出されたことが明らかになった場合には「必要なあらゆる対策を講じて」これを取り戻す意向を示した。