フランスの伝説的な俳優、ジャンポール・ベルモンドさんが死去した。88歳だった。担当弁護士のミシェル・ゴデスト氏が6日、明らかにした。
死因は公表されていない。
ロイター通信によると、ベルモンドさんは1933年、パリ近郊のヌイイ・シュル・セーヌで生まれた。父はフランス人彫刻家のポール・ベルモンドさん、母は画家のサラ・レノー・リシャールさんという芸術家一家だった。
子どもの頃はボクシングに熱中したが、やがて俳優の道に進み、3回の挑戦を経て52年にパリの国立高等演劇学校(コンセルバトワール)に入学した。
ジャンポール・ベルモンドとジーン・セバーグが写った「勝手にしやがれ」の1959年のポスター/PictureLux/The Hollywood Archive/Alamy Stock Photo
ベルモンドさんは最初こそ苦労したものの、その後は「プロフェッショナル」「エースの中のエース」「おかしなおかしな大冒険」を含むヒット作に出演している。
ただ、最も有名なのは、危険だがロマンチックな犯罪者ミシェルを演じた「勝手にしやがれ」での画期的な演技だ。ベルモンドさんはこの映画でジャンリュック・ゴダール監督や米国人女優のジーン・セバーグさんと仕事を共にした。
その後まもなく、ベルモンドさんは50~60年代に広がったフランスの映画運動「ヌーベルバーグ」の先頭に立つことになる。ヌーベルバーグの実践者は実験的な物語や映画技法上のテクニックを駆使して、映画の世界に革命を起こした。
この運動はフランシス・フォード・コッポラやマーティン・スコセッシを含む同時代の米国人監督にも影響を与えた。
訃報(ふほう)を受け、多くの人からベルモンドさんを追悼する声が寄せられている。
ゴデスト氏はCNN提携局BFMTVの取材に、「フランス全体が悲嘆に暮れている。私も悲しい」と語った。
ベルモンドさんとの交遊については「素晴らしかったが、怖い面もあった。彼は多くの人が友人になりたいと望むような男だったが、それと同時に、彼の中にはモンスターがいた。恐ろしい性格だった」と振り返った。
マクロン大統領はツイッターで、フランスは「国の宝」を失ったと述べた。