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活動家らが「最後の晩餐」の複製画に自分たちを貼り付け 同様の抗議続く

「最後の晩餐」の複製画の前で、新たな石油の掘削に抗議する活動家ら

「最後の晩餐」の複製画の前で、新たな石油の掘削に抗議する活動家ら/Kristian Buus/In Pictures/Getty Images

気候変動問題に関わる活動家のグループが主要なギャラリーに今週乱入し、英国政府にメッセージを送っている件で、新たな事案が発生した。今回の現場はロンドンにあるロイヤル・アカデミー・オブ・アーツだ。

5日午前、気候活動家グループ「ジャスト・ストップ・オイル(JSO)」のメンバー数人は、自分たちの手のひらを展示作品の額に貼り付けた。額に収まった絵画はルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」の複製画で、弟子2人が描いたものとされている。活動家らはまた、作品の下に白いスプレーで、新たな石油を拒否する意味の文言を記した。当該のギャラリーの広報担当者がCNNに確認した。

ダビンチが制作したオリジナルの「最後の晩餐」は、キリストが12人の使徒たちに対し、この中の1人が自分を裏切るだろうと告げる瞬間を描いた作品。伊ミラノにあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の壁画で、1495年から2~3年かけて制作された。今回活動家らの手に落ちた複製画は、ジャンピエトリーノとジョバンニ・アントーニオ・ボルトラッフィオの2人がオリジナルからおよそ15年後に描いたとみられる。

JSOのメンバーは英国政府に対し、今後の石油・ガス採掘の許可を与えないよう要求。行動を起こして気候変動の影響を遅らせなければ過酷な未来が待ち受けていると警鐘を鳴らす。

手を貼り付けた額の下には「新たな石油はいらない」と訴える文言が書かれた/James Manning/PA Images/Getty Images
手を貼り付けた額の下には「新たな石油はいらない」と訴える文言が書かれた/James Manning/PA Images/Getty Images

インディペンデント紙によれば、ギャラリーでの抗議に参加した1人は、政府をキリストに対する裏切りをはたらいたユダになぞらえた。そのうえで、JSOがこの「荘厳で美しい絵画」を選んだのは、未来が「かつてないほど暗い」からだと訴えたという。

4人の活動家らは3時間以上その場にとどまった後、警察によって退去させられた。ギャラリーが明らかにした。抗議活動の間、この展示室は一般公開ができなかったという。前出の広報担当者は絵画の状態について、現在ロイヤル・アカデミーの保存修復士が調べていると付け加えた。

JSOのメンバーが自分たちを著名な芸術作品に貼り付けて抗議の声を上げるのはこれで5回目。過去1週間で立て続けに行われている。これまではロンドンのコートールド・ギャラリーにあるゴッホの作品やマンチェスター・アート・ギャラリーにあるターナーの絵画が対象になった。3日にはフォーミュラワン(F1)の英国グランプリにも乱入し、シルバーストーン・サーキットの路面に座り込むなどしていた。

CNNが報じた直近の抗議活動は4日、ロンドンのナショナル・ギャラリーで起きた。そこで活動家らはコンスタブルの有名な風景画「乾草の車」の上から同作に修正を加えた絵をかぶせ、自分たちの手を額に貼り付けた。修正版はサフォーク州の田園風景をもとにしながらも川を舗装道路に置き換えているほか、工場の煙や空を飛ぶ航空機などが描き加えられている。JSOは、自分たちの選んだ一部の風景画に描かれている自然の美しさについて警告。気候変動により、差し迫った危機にさらされていると強調した。

コンスタブルの風景画には、内容を修正した絵を上からかぶせた/Kirsty O'Connor/PA Images/Reuters
コンスタブルの風景画には、内容を修正した絵を上からかぶせた/Kirsty O'Connor/PA Images/Reuters

JSOが特定したところによると、ナショナル・ギャラリーでの抗議を行ったのは学生の2人組。ロンドン警察はCNNに対し、この2人を器物損壊罪の疑いで逮捕したと確認していた。その後は保釈され、さらなる取り調べが行われているという。

ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでの今回の抗議活動後、JSOは声明を発表し、47歳の元教師などを含む一部の参加者を特定。「残された時間はもうない。あると言えば噓(うそ)になる。新たな石油とガスの掘削を今すぐ停止しなくてはならない。政府が有意義な声明を出してそのように動くなら、芸術機関への乱入は即刻止める。それまでは乱入を継続し、若者に対して彼らのためにできることは何でもすると理解してもらう。それ以上に優先することなど何もない」と述べた。

同じく抗議活動のメンバーである21歳の画学生は芸術機関に対しても要求を行い、自分たちの運動に参加するよう呼び掛けた。

「このギャラリーの館長が芸術には世界を変える力があると本当に信じているのなら、その力を主張してほしい。ギャラリーを閉館し、政府が新たな石油掘削を行わないと約束するまで開館を拒否してもらいたい」と、当該の画学生は述べた。

ギャラリーの閉館を求められたことについて、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはコメントしなかった。

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