終身刑判決の姉妹、腎臓移植条件に釈放 ミシシッピ州
(CNN) 米南部のミシシッピ州政府は9日までに、武装強盗の罪で終身刑判決を受け16年間服役していた姉妹に対し、妹が人工透析治療が必要な姉に腎臓を提供するとの異例の条件を付けて仮釈放を認めた。バーバー同州知事が刑の執行停止を決めたことに伴うもので、姉妹は同日朝、出所した。
知事は、姉の人工透析の治療費が州政府に多大な負担となり、2人がもはや獄中での更生を必要としていないとの判断から仮釈放を決めた。州矯正行政当局によると、人工透析を1週間に3度実施した場合の費用は年間19万ドルになる。
この姉妹は、ジェーミー・スコット(38)、グラディス・スコット(36)両元受刑者で、ジェーミーさんは同州ジャクソンに近いパールの刑務所からの仮釈放後、記者会見し、「まだ目覚めず、夢の中にいるようだ」と喜びを語った。服役中には獄中で死亡する恐怖心も感じていたという。グラディスさんは愛する姉のために腎臓提供を決めたと述べた。
2人の弁護士によると、ジェーミーさんの病状は極めて重く、早急な移植を必要としている。姉妹は今後、同州に最終的な釈放決定を求める方針。弁護士は必要なら法廷闘争にも訴えるとしている。
ただ、グラディスさんの腎臓がジェーミーさんに適合するかどうかの検査はまだ実施されていない。順応しないと判断されても、グラディスさんは刑務所に戻る事態にはならないと信じ、移植が実施され「自分と一緒に、姉に孫を育てさせてあげたい」と願っている。
ミシシッピ州の地元テレビによると、姉妹は1993年、当時十代の3人をそそのかし、散弾銃を使って男性2人を襲わせ、11~200ドル入っていた財布を奪ったとする事件で逮捕、訴追されていた。弁護士は、証言の食い違いなどを根拠に2人の無罪を主張したが、同州の控訴審は96年、下級審の判決内容を支持していた。実行犯の3人は2人より軽い判決を受け、その後釈放されていた。姉妹は事件での無罪を立証するため闘いを続けるとしている。
2人は今後、母親がいるフロリダ州ペンサコーラで同州矯正行政当局の指導を受けながら住むことになる。ジェーミーさんには子供3人、孫2人が、グラディスさんには22歳と15歳の娘2人がいる。全米有色人地位向上協会(NAACP)など市民の権利保護団体はこれまで集会や会議で姉妹の釈放を要求し続けており、今回の知事の決定を評価している。